BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国が連携し、アメリカや西欧主導の世界経済秩序に対抗するための戦略的経済ブロックとして2000年代に誕生しました。当初、各国の経済成長を背景に、グローバルサウスの代表として台頭したBRICSは、単なる経済協力を超えて、多極化する世界での新たな国際秩序を形成しつつあります。

BRICS グローバルサウスの解放
BRICSは、単なる経済協力を超え、グローバルサウス諸国の声を国際舞台で強めるためのプラットフォームともなっており、植民地主義的な影響を排除し、より公平で多極的な国際秩序を目指しています。特に西側諸国の「カラー革命」や「民主主義の輸出」といった政策は、しばしば植民地主義的な介入とみなされてきました。これに対して、BRICSは主権国家の平等を重視し、相互尊重を基盤にした外交・経済協力を推進しています。
また、BRICSの結束は、グローバルサウスが植民地主義から解放され、経済的な自立と成長を達成するための強力な支援体制を築く方向にあります。例えば、新開発銀行(NDB)の設立は、IMFや世界銀行に代わる融資機関を提供し、これまで発展途上国が西側に依存していた経済支援モデルからの脱却を可能にしました。
BRICSプラス 拡大する影響力

* Event: 10th BRICS Parliamentary Forum
* Author: Alexei Danichev
* Source: Photohost agency brics-russia2024.ru
* Location: St. Petersburg, Russia
BRICSは今、新たな段階へと移行しようとしています。「BRICS+」という枠組みの下、さらに多くの新興国や発展途上国が参加を希望しており、その規模と影響力は飛躍的に拡大しています。
現在、BRICSには次の国々が加盟しています:
• ブラジル
• ロシア
• インド
• 中国
• 南アフリカ
これに加えて、BRICS+への加盟を申請している国や関心を示している国は以下の通りです:
• アルゼンチン
• イラン
• サウジアラビア
• エジプト
• トルコ
• アルジェリア
• その他、中東やアフリカ諸国
BRICS+が実現すれば、この新たな枠組みは、世界人口の60%以上を占め、巨大な経済圏を形成することになります。また、加盟国には膨大な資源が集中しています。例えば、ロシアやサウジアラビアは世界最大級の石油・天然ガス埋蔵量を誇り、南アフリカは鉱物資源が豊富です。これらの国々が連携することで、エネルギー市場においても西側諸国に対抗しうる力を持つようになります。
独自決済システムの構築

BRICSの結束の重要な要素として、独自の決済システムの構築が進行中です。これまで西側諸国、特にアメリカの影響を強く受けていた国際決済システム(SWIFT)に依存していた経済圏が、BRICS+によって新たな決済手段を模索しつつあります。これには、デジタル通貨の導入や、加盟国間の直接取引のための独自通貨制度の整備が含まれます。
例えば、ロシアと中国はすでに自国通貨建てでの貿易決済を進めており、これによりドルへの依存度を減らしています。BRICS+が広がれば、加盟国間での取引がさらに容易になり、国際経済の新しい枠組みが形成される可能性があります。この動きは、アメリカ主導の経済制裁や金融規制に対する抑止力としても機能し得ます。
新たな世界秩序への道

BRICS+の拡大と独自経済基盤の強化は、西側諸国の植民地主義的な影響力からの脱却を目指すグローバルサウスにとっての希望の光となりつつあります。従来、IMFや世界銀行といった西側主導の金融機関に依存していた国々が、BRICS+の枠組みを通じて新しい経済的自立を目指すことができるのです。
また、BRICSは単なる経済ブロックとしてだけでなく、地政学的なプレーヤーとしてもその存在感を増しています。
今後、さらに多くの国がBRICS+に参加し、世界の多極化は加速していくでしょう。これにより、新たな国際経済秩序の形成が進み、平和的な経済発展が実現する可能性が高まります。
このように、BRICS+の拡大とその経済的・地政学的影響は、今後の世界の行方を大きく左右する重要な要素となっています。